カバラとタロットの関係その2

エリファス・レヴィの対応には1か所 奇妙な点があります。

「愚者」のカードが「審判」と「世界」に挟まれているのです。
そこで、黄金の夜明け団がこのレヴィの対応表に修正案を出し、同時に小アルカナとセフィロトの対応を最初に考案します。

小アルカナは数字が、重要な解釈の要素のため、シンプルでわかりやすい対応が可能です。

それは、小アルカナカードの「1」から「10」までのスートが、10個のセフィロトにそれぞれ対応させられるからです。
以下、「黄金の夜明団(ゴールデン・ドーン)のカバラに対する考え方を抜粋します。
(『完全マスタータロット大全』伊泉龍一著)

ケテル(Kether、王冠と訳される)
第1のセフィラ。思考や創造を司る。万物の最初の「原因」でもある。数字は1、色は白、宝石はダイアモンドを象徴する。王の横顔で表される。神名はエヘイエー。守護天使メタトロンである。同時に最後の剣として称されるマルクトと通じ合っている。
コクマー(Cochma、知恵と訳される)
第2のセフィラ。数字は2、色は灰色、宝石はトルコ石を象徴する。至高の父と呼ばれ、男性原理を象徴する。神名はヨッド。守護天使はラツィエルである。コクマーは「存在の本質」を表し、事物が存在する上で書くことのできないエネルギーを示す。ケテルが潜在的に対して、コクマーは顕現、というイメージ。
ビナー(Binah、理解と訳される)
第3のセフィラ。数字は3、色は黒、宝石は真珠、金属は鉛、惑星は土星を象徴する。至高の母と呼ばれ、女性原理を象徴する。成熟した女性で表される。神名はエロヒムである。守護天使はザフキエルである。ビナーには「理解」という意味があり、陰性・受動性の要素を持つ。コクマーが能動的に対して、ビナーは受動的な原理・・母なる寛容性・・生命力の根源を示す。

ケセド(Chesed、慈悲と訳される)
第4のセフィラ。ケセドはゲドゥラーとも呼ばれる。数字は4、色は青、金属は錫、図形は正四面体、宝石はサファイア、惑星は木星を象徴する。王座に座った王で表される。神名はエル。守護天使ザドキエルである。
「慈悲」の意味を持ち、固体化・物質化・個性化の原理を表す。
ケセドにはゲドゥラーという呼び名もあり、「威厳」「偉大」を意味する。
ゲブラー(Geburah、峻厳と訳される)
第5のセフィラ。数字は5、色は赤、図形は五角形、金属は鉄、宝石はルビー、惑星は火星を象徴する。天空の外科医と呼ばれることもある。神名はエロヒム・ギボールである。守護天使カマエルである。
「峻厳」の意味があるが、軍人マルスにも対応するため、火星の持つ「破壊」の意味もある。


ティファレト(Tiphereth、美と訳される)
第6のセフィラ。生命の樹の中心に位置している。数字は6、色は黄、金属は金、惑星は太陽(太陽も惑星と見なす)を象徴する。神名はエロハ。守護天使はミカエルである。
「美」と「調和」の原理。
ネツァク(Netzach、勝利と訳される)
第7のセフィラ。数字は7、色は緑、金属は銅、宝石はエメラルド、惑星は金星を象徴する。全裸の女性で表される。神名はアドナイ・ツァオバト。守護天使ハニエルである。
ネツァクには「勝利」の意味があり、金星に対応しているために「豊穣」の象徴とも言える。
ホド(Hod、栄光と訳される)
第8のセフィラ。数字は8、色は橙色、金属は水銀、惑星は水星を象徴する。神名はエロヒム・ツァオバト。守護天使はラファエルである。
「栄光」を意味する。水星と対応するために、ヘルメスの持つ「物質的なレベルでの形成」も表す。

イェソド(Iesod、基礎と訳される)
第9のセフィラ。アストラル界を表す。数字は9、色は紫、金属は銀、惑星は月(月も惑星と見なす)を象徴する。裸の男性で表される。神名はシャダイ・エル・カイ。守護天使はガブリエルである。
マルクト(Malchut、王国と訳される)
「基礎」の意味があり、オカルティストたちは「アストラル界」、ユング心理学的な概念では「集合的無意識」の領域を示す。

第10のセフィラ。物質的世界を表す。数字は10、色はレモン色・オリーブ色・小豆色・黒の四色、宝石は水晶、惑星は地球を象徴する。王座に座った若い女性で表される。神名はアドナイ・メレク。守護天使サンダルフォンである。
ダアト(Daath、知識と訳される)
隠れたセフィラ。ダートと表記されることもある。通常、知識と訳される。他のセフィラとは次元が異なる。ダアトは生命の樹の深淵の上に存在する。
まさに「王国」を示す。4大元素の世界であり、通常の意味では、人間が五感で知覚できる世界を示している。

小アルカナには「ワンド」「ソード」「カップ」「ペンタクル」と4つのスートが、「火」「風」「水」「土」を象徴しています。そこでこの4元素と各セフィロトが内含する概念を組み合わせて、象徴的な意味を作り出します。
例えば、「ワンド エース」は「火」のイメージと「ケテル」の持つ万物の根源という概念の複合的な意味を持ちます。

このように考えると、「数秘術」然り、「カバラ思想」然り、と益々タロットの神秘性が高まります。むしろタロットの優れたところは、古代の教え(秘密教義)があらゆるパターンで閉じ込められていることを示唆するものなのでしょう。